[視点]2015年の最初の5か月における米国電子書籍の売り上げ規模が減少

2015年9月28日 / ニュースキュレーション

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 すでにいくつかの市場調査や大手出版社の業績発表からも明らかなように、2015年の初頭(1月〜5月)の米国電子書籍売上高は昨年と比較して減少している。一方で、印刷版書籍は日本のような出版不況もなく、安定した売り上げを確保している。ひところ、いずれ米国電子書籍は出版市場の半分を占めるようになるとまでいわれていたが、いまとなってはそれどころではないというわけだ。その理由として、電子書籍の小売価格の上昇、つまり、アマゾンとの交渉によって小売価格決定権(エージェンシーモデル)を確保した大手出版社が、小売価格を高値に誘導したため、結果として印刷版との価格差がなくなりつつあるということが挙げられている。大きな価格差がなければ、手元に形として残る印刷版を買っておこうということだろうか。書棚を作る楽しみや、装丁の楽しみなどもある。もちろん、電子書籍の黎明期からいわれているように文字の大きさを自由に変更できるということにメリットを感じている高齢者、重い本を持ち歩くのが大変だと感じる旅行者の支持は得ていると思われる。つまり、価格優先で電子書籍版を選択していた人たちが離れつつあるのかもしれない。さらにいうと、ガジェット好きの人たちがeリーダーに飽きて、コンテンツ消費が現象しているということもありえる。
 米国の報道では、このような電子書籍市場が頭打ちになっていることについての記事を目にすることが多くなった。海外の先行している市場動向から日本市場で何をすべきかということを考察することは大きな意味がある。

ニュースソース

  • 2015年の最初5か月で電子書籍売上は10%ダウン[Mediagazer

記事修正履歴

  • 記事中で言及している「電子書籍市場」が「米国電子書籍市場」のことを指していることが分かりにくく、誤解を招くと言うご指摘を多数いただきました。単語を補い、明示的に米国市場を指すように修正をいたしました。お詫びするとともに、ご指摘いただいた方に感謝致します。

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