[編集長コラム]「日本はなぜ負けるのか」、日本人必読!

2016年6月10日 / 電子メディア雑感

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 「日本はなぜ負けるのか」という過激なタイトルの本をNextPublishingで発行させて頂きました。藤原洋さんが書かれた本です。この本では、いまの日本の病状が極めて明確に指摘されています。
まず、次のグラフを見て、驚いてください。

日本はなぜ・表紙

 これは本書の表紙にもなっているグラフですが、過去20年のGDPで、マイナス成長なのは日本だけなのです。本文では10か国で比較していますが、それでも同様です。この現実を、どれだけの日本人が認識していたでしょうか。
 政府やマスコミの言うことを聞いているだけだと、日本はデフレを脱却し、成長軌道に乗るかのように聞こえますが、このデータはファクトなのです。
 本書では、この20年のことを、「インターネットによる世界経済の構造変化が起こっていることを気づかずに過ごした20年」だと説いています。
 その証左として、20年前と現在の企業価値ベスト10を、日米で比較しています。それによると、米国はアマゾン、グーグル、セールスフォース、フェイスブックなどのネット企業が新たにランクインしていますが、日本では20年前とあまり変わり映えしません。さらに問題なのは、米国の新興企業の価値合計が、従来からの日本企業の価値合計を上回っていることです。
 また、日本はITのことを間違って理解していると警鐘を鳴らしています。たとえば、「日本ではインターネット業界と情報サービス業界を混同し、(中略)、この2つはまったく異なる業界であり、情報サービス業界はインターネット化されていない」と、また「日本のマスメディアはこの2つの業界の区別ができていないために、情報サービス業界が日本のIT業界を代表しているように扱っている」と、問題点を指摘しています。
 さらに政府のアベノミクスについては、第三の矢が重要であり、いまの経団連企業のヒアリングだけで経済政策を決めるのでは、新しい成長軌道に乗れないと指摘し、その筆で岩盤規制の問題にも触れています。学者にして、マザーズ上場一番乗りを果たし、インターネット協会理事長も務める藤原さん、他の人ではなかなか言えない問題に、鋭く切り込んでおられます。

 

 本書で書かれていることについては、まったく同感です。私も、パソコン黎明期からITの成長を間近で見てきましたが、技術者、マニア、リアルユーザーの間では盛り上がりを見せたものの、政治・行政、マスコミ、ビジネスの世界では、その本質が理解されてこなかったことを痛感しています。我々、専門メディアの力不足もあるでしょうが、戦後の奇跡的経済成長の成功体験から来る「イノベーションのジレンマ」に、日本の産業全体がはまり込んでしまっているように感じます。

 

 本書では、これからの日本の成長戦略についても多くのページを割いています。日本には、もう時間もお金も少なくなってきたように思います。現実の課題を直視し、早く次のステージに上がりたいものです。本書は日本人必読だと思います。
http://nextpublishing.jp/book/7817.html

日本はなぜ・表紙

インプレスR&D発行人/OnDeck編集長 井芹昌信
※この連載が書籍になりました。『赤鉛筆とキーボード』
http://nextpublishing.jp/book/6865.html

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