[編集長コラム]岩波書店とコラボ出版

2015年3月5日 / 電子メディア雑感

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 先週、インプレスR&Dから「岩波書店の歴史的名著41点 一世紀をへだてて一般読者向けに販売開始!」というキャッチフレーズでプレスリリースを出しました(http://www.impressrd.jp/news/150227/NP)。これは岩波さんとのコラボで、102年前の創業から間もない時期に発行された同社の名著・古典を、NDL所蔵古書PODのモデルで復刻したものです。
 NDL所蔵古書PODは昨年の4月から販売を開始した、国立国会図書館の近代デジタルライブラリーに収録されている著作権満了のコンテンツをPODで復刻するシリーズです。前回は、20万以上のタイトル数の中からインプレスR&Dでメジャーなものをと思い選書したのですが、この選書と内容紹介を書くのがとても大変でした。そこで今回は先に発行元に相談を持ちかけ、それらの作業を発行元にやってもらえないかと考えました。発行元なら、内容が分かっておられるだろうから、選書や内容紹介文を適切に書いて頂けるだろうと思ったしだいです。
 その白羽の矢を立てさせて頂いたのが、日本を代表する老舗版元の岩波書店さんだったというわけです。岩波さんとの協働作業はPODについてだけでなく、出版全般に及びとても楽しいものでした。結果は、さすが岩波さん、一世紀前の本にも関わらず素晴らしい選書と内容紹介を書いて頂けました(POD対応ストアで確認できます。現在、アマゾンでは40%offセール中:「岩波 NDL」で検索)。
 実は、今回の41点は一般読者向けに先駆け、全国大学図書館向けの販売を行っています。岩波さんの古書は図書館からのニーズがあると聞いていたので、丸善さんに法人販売をお願いしたのです。丸善さんによると、図書館向けの場合はペーパーバック(並製本)だと耐久性に問題があるとのことでしたので、ひと手間かけて上製本にしています。いまはPODでも上製本はできるんです。手作業になりコストは上がりますが。
 ちなみに版面品質は、NDLのオリジナルデータが本を見開きでスキャンしたままの状態なので、製本するために単ページの切り出し、コントラスト調整、傾き調整などのグラフィック処理を行っており、読みやすくなっていると思います。読者の中に図書館関係の方がおられたら、ぜひご検討を。
 

 せっかく税金でアーカイブされている国民資産です。東京の国会図書館でしかお目にかかれない貴重な古書を全国図書館に、また自分の手元において置けたら文化リッチだと思うのです。
 

OnDeck編集長/インプレスR&D 発行人 井芹 昌信

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