漫画家&マンガクリエイターを目指す学生とコミック編集部の出会いの場〜“デジタルマンガキャンパス・マッチ2014”スタート

2014年9月9日 / レポート

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text: 中島由弘(Yoshihiro Nakajima)/OnDeck編集委員

2014年9月9日

大学や専門学校などで漫画家を目指し、学んでいる学生たちと大手コミック編集部との出会いの場を作ることを目指すコンテンスト、デジタルキャンパスマッチ2014の開催が発表され、募集が開始された。

主要な出版社や学校が一堂に会するイベント

デジタルマンガキャンパス・マッチ2014の実行委員長には慶應義塾大学メディアデザイン研究科教授の中村伊知哉氏が就任し、審査員にはデジタルマンガ協会の会長で漫画家の里中満智子氏の他、犬木加奈子氏、倉田よしみ氏、つだゆみ氏、山田ゴロ氏という著名な漫画家各氏が名を連ねている。そして、参加するコミック編集部は8社19誌、最終的には30誌が参加する予定になっている。また、このコンテストへの参加を表明している学校は開始時点では約40校で、学生は自分が所属する学校を通じて作品を応募することになる。

部門としては、ストーリーマンガや1コマや4コママンガなどを扱う「デジタルマンガ部門」、キャラクター、ヒーローやヒロインなどを扱う「イラスト・キャラクター部門」、動くマンガや音の出るマンガ、インタラクティブ作品などを扱う「未来のマンガ部門」という3部門になっている。

応募の締め切りは12月26日で、来年3月に審査結果を発表する。いずれも、デジタルツールを使って制作されていることが条件である。

このコンテストでなんらかの受賞をしても、すぐに各誌への掲載が約束されていたり、漫画家デビューが約束されていたりはしないが、プロの漫画家や編集者に見てもらえるということが、将来のデビューを夢見る学生にとってはとても大きな動機づけにしたいということが趣旨である。

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写真1:デジタルマンガキャンパス・マッチ2014(http://www.digital-manga.jp/

漫画の制作現場とデジタル化の現状

デジタルマンガキャンパス・マッチ2014の事務局によれば、マンガ作品の制作にあたり、デジタルツールを導入しているプロの漫画家はカラー作品で約6割、モノクロ作品で約4割だという。その背景は、長年、従来のようなペンを使って仕上げていると、腱鞘(けんしょう)炎のような病気を患い、作品制作が継続できなくなってしまうという作家生命にもかかわるような事態を避けることができたり、デジタル化による制作にかかる作業量も減少することで、作家の事務所を維持する上での経費の削減が可能になったりするというメリットがあるという。

今後、さらにペンタブレットなどのハードウエアやソフトウエアの普及と相まって、今後も制作現場でのデジタル化はさらに進む傾向にあるという。

また、次世代の漫画家やマンガクリエイターを育成する教育機関は60校から100校あるとされていて、すでにデジタルツールを使った制作には取り組んできているという。しかし、卒業後の進路は決して明るいとはいえず、在学時点から編集部やプロの漫画家との出会いがあれば、将来のデビューや関連分野での進路へと結びつく可能性が出てくるのではないかということだ。

最大の人材育成方法は“出口”を用意すること

運営事務局によれば、デジタルキャンパスマッチの“マッチ”とは、“競う”という意味と“出会う”という意味が込められているという。つまり、漫画作家を目指す学生と編集部を結びつけるということだ。

9月3日に開催されたデジタルキャンパスマッチ2014のキックオフイベントには、実行委員長や審査員をはじめとして、参加大学、編集部、協賛企業が集まり、このイベントにかける思いを語った。

実行委員長である慶應義塾大学メディアデザイン研究科教授の中村伊知哉氏によれば、コンテンツの人材育成は政府の知財計画における重要項目にあがっていて、今後のコンテンツビジネス、とりわけマンガ産業の発展にとって重要であるという。

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写真2:慶應義塾大学メディアデザイン研究科教授 中村伊知哉氏

参加学校の代表として、日本工学院クリエーターズカレッジ長の佐藤充氏は学校と産業界が結びつき、具体的には作品について、編集者の意見を聞いたり、名刺をもらえたりすることからはじまり、才能のある学生に少しでもチャンスを得られるようにしたいと語った。

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写真3:日本工学院クリエーターズカレッジ長 佐藤充氏

出版社の代表として、小学館常務取締役の横田清氏は次世代の若い才能とどう出会うのか、そしてつぎの世代にどうつなげていくのかということについて、出版社のはたす役割について、各社が目覚めてきているという。

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写真4:小学館常務取締役 横田清氏

審査員の代表として、漫画家の里中満智子氏は「若い人たちにとって、いくら学校で腕や表現力を高めたとしても、それを世に出すことができなければモチベーションにつながらず、あきらめてしまう人も多い。出口を用意することこそが最大の人材育成につながる」という。さらに、デジタルコミックであれば、発表のチャンスがより広がることから、さらに夢を持って取り組んでほしいという。

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写真5:デジタルマンガ協会会長/漫画家 里中満智子氏

■参加コミック誌編集部

秋田書店(別冊少年チャンピオン、ヤングチャンピオン)、講談社(月刊少年シリウス、アリア)、集英社(ジャンプa(仮)、週刊ヤングジャンプ、となりのヤングジャンプ、マーガレット)、小学館(週刊少年サンデー、ショウコミ、スピリッツ)、少年画報社(ヤングキング、月刊YOUNGKINGアワーズGH、ねこぱんち)、日本文芸社(週刊漫画ゴラク、コミックヘヴン)、双葉社(漫画アクション)、芳文社(まんがタイム、まんがタイムきらら)、他

■参加学校

大阪エンタテインメントデザイン専門学校、大阪芸術大学、大阪総合デザイン専門学校、京都精華大学、国際アート&デザイン専門学校、宝塚大学、東京工科大学、東京コミュニケーションアート専門学校、専門学校東京デザイナー学院、東放学園映画専門学校、トライデントデザイン専門学校、日本アニメ・マンガ専門学校、日本工学院専門学校、日本工学院八王子専門学校、専門学校日本デザイナー学院、専門学校日本デザイナー学院九州校、専門学校日本デザイナー芸術学院仙台校、日本電子専門学校、専門学校日本マンガ芸術学院、文星芸術大学、他計40校予定

■OnDeck weekly 2014年9月11日号掲載

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