[視点]コミックマーケット準備会がTPPでの知的財産条項案に対して声明を発表

2015年3月9日 / ニュース, ニュースキュレーション

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 TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の知的財産条項において、著作権侵害の非親告罪化導入が検討されている。これに対して、コミックマーケットを主催する団体であるコミックマーケット準備会が「大変憂慮している」とする声明を発表した。コミックマーケットは毎年、夏と冬に東京ビッグサイトで開催されている同人誌などを即売するフリーマーケットである。2014年末に開催された際には会期3日間に50万人以上が訪れるというビッグイベントとなっている。

 同人誌とは同じ趣味を持つ人のグループや個人が作成する本のことで、オリジナルの作品もあれば、2次創作の作品もある。2次創作のなかには厳密には原著作者の許諾を得ていないものもあるが、原作に対するオマージュとして黙認されている部分でもある。こうした創作活動を通じて、次の世代のクリエイターが育ったり、デビューを果たしたりする場にもなっていることが、日本のアニメやコミックのクリエイター層の厚さにつながっているともいえる。また、そうした2次創作作品が出ることで、原著作物のマーケティングになっているものもある。そうしたことを背景として、最近のコミックマーケットには大手出版社やゲームメーカーなども参加するようになり、年を追うごとにメジャーな存在になっているといえる。

 そうした場を主催するコミックマーケット準備会が「憂慮している」という声明を発表したのはうなずけるところもある。原著作者が黙認をしてきた部分を法律によって非親告罪化することで、クリエイターを萎縮させてしまうのではないかということだ。これに対して、原著作者はクリエーティブコモンズや同人マークなどを使って、著作権者がその著作物をどう扱ってほしいかという意思を表明することも可能ではあるが、すべての作品で意思が表明されるものでもない。今後、TPPでの交渉がどうなるのか、もし非親告罪化が盛り込まれたとき、国内法でどのように定められ、どう運用されるかということについても、関係する各団体などからも意見が活発に出ることになるだろう。

デジタルマンガキャンパスマッチ2014受賞作品発表

 本誌2014年9月11日号で紹介した「デジタルマンガキャンパス・マッチ2014」の審査結果が発表された。このコンテストは次世代の漫画家を育成・発掘することを目的としたもの。

 初回となる今回は専門学校など71の参加校から「デジタルマンガ部門」で約350作品、「イラスト部門」で932作品、インタラクティブ性や動的要素を備えた「未来のマンガ」部門で11作品の合計約1350作品の応募があった。審査したのは出版社10社の33編集部、協賛企業6社が参加して、漫画家の里中満智子氏をはじめとしたデジタルマンガ協会の漫画家が審査を行った。受賞者や、編集部からの推薦をもらった作者はマンガ編集部にコンタクトを取るチャンスが得られる。

ニュースソース

  • デジタル時代の漫画家を発掘するコンテスト、マンガ学部・学科などの学生から1350作品の応募[INTERNET Watch
  • コミケ準備会、TPP知財交渉について“憂慮している”との声明を発表[INTERNET Watch

 編集部

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