[視点]電子書籍の誤字・脱字はいつ修正すべきか?
2015年3月9日 / ニュース, ニュースキュレーション
電子書籍を出版されたあと、著者が誤字や脱字を修正したいと出版社に申し入れたところ、コストがかかるからできないといわれたということがTwitterで話題となっていた。
従来、プリント版では重版のタイミングでレイアウトやページ構成が変わらない範囲で修正をするのが一般的で、残念ながら重版のかからない書籍は修正ができなかった。しかし、電子書籍の場合、原理的にはいつでも修正が可能で、すでに購入した人に対しても修正情報を送ることもできる電子書籍プラットホームもある。ただし、出版社からすると、異なった電子書籍プラットホームで販売する場合、原版からどのように各プラットホーム版を作るかということによっては手間も違うだろう。また、電子書籍取次会社が介在していた場合、電子書籍書店でダウンロードされるファイルがいつ修正されるのかということまで考えると少々複雑だろう。
話題となっている事例では、出版社にどのような事情なのかは十分にわからないのだが、出版社側がまだまだそうした対応に不慣れなのか、ワークフローとして定着していないのかということは十分に考えられる。特に、出版社にとってはプリント版を主製品であり、電子版はその派生商品だと考えていると、電子版だけ修正をすることはできないと答えてしまう気持ちもわからなくもない。
出版社もそう簡単に「デジタルファースト」などと考えを変えられないだろうし、事前に著者と出版社で合意をしておく必要があるのだろう。ちょっとしたトラブルといえばそれまでだが、出版社にとっての電子書籍への取り組み状況を象徴しているできごとでもある。
ニュースソース
- 宇野常寛氏(@wakusei2nd)、「これじゃなんのための電子書籍かわからない。マジで出版はオワコンだな。」[Togetter]
編集部