[編集長コラム]ドローンは昆虫に進化する?!

2015年5月28日 / 電子メディア雑感

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前回のこのコラムで、ドローンでライブ中継した少年のことに触れましたが、何とその後すぐに逮捕されてしまいました。このことでのネットの書き込みなどを見ると賛否両論がありますが、どちらかというと「当然」という意見が多く見受けられました。

ここではその是非についての考察はしませんが、ドローンを飛ばすことが何か悪いことのような空気が作られるのは、世界的に起きている革新的テクノロジーに背を向けるという意味で良くないと思います。

いま問題とされているのは、ドローンが落ちてきて人に怪我をさせてしまう危惧だと思いますが、ドローンは皆の予想をはるかに超えたスピードで進化し、別の脅威も生み出すと予見されます。

その1つの方向が、昆虫のようになるという進化です。

いま市販されているものでも、手のひらに乗るほど小さいドローンがあります。下記のZANOは6.5cm、55グラム。

http://time-space.kddi.com/digicul-column/world/20150312/index.html

カメラ無しなら4cm、12グラムのドローンも存在します(SKEYE Nano Drone)。

http://100messenger.com/?p=7343

 

この程度の重さなら、もし落ちてきたとしても人に危害を与えることはなさそうです。とすると、いま考えられている規制は必要なくなるかも知れません。では、めでたし、めでたしなのか。いや、それ以上の脅威が待っていそうです。

SKEYE Nano Droneの動画を見ると、その様相はもはや昆虫を想起させますが、今後はさらに小さくて性能のいいドローン(ナノ・ドローン)が開発されてくるのは間違いありません。すでに研究機関や軍レベルでは、ハエや蚊を模したナノ・ドローンが試作されていると報じられています。羽を持ち、目を持ち、自在に空を飛べ、気付かれずにどこにでも入っていける。これらが空から大量にばらまかれたら、と想像してみてください。たとえば政府や警察による監視や軍事への利用などです。民衆のプライバシーは危機にさらされます。

いまはまだ実現されていませんが、たとえばZigBeeのような近距離無線通信機能を備えたナノ・ドローンが大量にあれば、近くのナノ・ドローン同士でネットワークを形成でき、世界中の離れた場所の状況を詳細に把握することができるでしょう。ちなみに、Droneは雄のミツ蜂の意があり、ZigBeeのBeeはミツ蜂のこと。これは偶然でしょうか。

 

ところで、いいことと悪いことは表裏なので、いい話も沢山ありそうです。たとえば地球環境の計測、動物の生体観察、農業への利用、交通監視など、これまでできなかった規模と精度で安価に様々な事象の調査・把握が可能になることでしょう。このところ、地球規模で発生している災害の予知や抑制に力を発揮してくれるかも知れません。

 

このような世界的に起こっているドローンの進化は、もはや止めることはできないでしょう。また、規制もイタチごっこになりかねません。そうなら、積極派も消極派もこの技術に背を向けることはできないのではないでしょうか。防御するにも、その技術を研究し熟知していなければなりません。ドローンに対し、悪いレッテルを張ったり、隠ぺいしたり、遠ざけたりして、社会的にタブーな空気を作り出してはいけないと思います。

 

インプレスR&D発行人/OnDeck編集長 井芹昌信

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