[視点]図書館での電子書籍貸し出しは出版社にとってのマーケティングソリューションか?
2015年6月15日 / ニュースキュレーション
英国の図書館団体は1年の実証実験の結果、公共図書館での電子書籍の貸し出しは、読者の新たな本の購入につながらないという結果を発表した。それに対して、図書館向け電子書籍配信の世界的な大手企業で、先ごろ楽天に買収されたオーバードライブ社すぐさま反論をした。オーバードライブ社は図書館で電子書籍を貸し出すと、気に入った本であればプリント版を購入して保存したくなるということ、そして電子書籍を借りようとしたときに、同時に貸し出せる冊数が限られているため、人気作品はすぐには借りられないこともあるのだが、そのときは「BUY NOW」ボタンを配置して、電子書籍ストアで誘導をするので、いずれの場合も出版社の売り上げに貢献するものだという説明をしてきた。これは、電子書籍を公共図書館が無償で貸し出すことは出版社にとっての不利益になるという出版業界との議論の結果としてたどり着いた結論だった。図書館団体がこれを覆す調査結果を出したとなると、オーバードライブ社としては事業そのものの否定されることにつながるということだろう。
日本でも本年度からは図書館向けの電子書籍配信事業の営業活動も始まっているといわれている。図書館に対する消費者の意識や購入の意識は国ごとに異なるのではないかと思われるのだが、果たして日本市場ではどうなることか。
ニュースソース
- 英国で1年間にわたる実験が終了「公共図書館での電子書籍貸し出しは、購入につながらない」[eBookUSER]
- 米OverDrive社、英国の電子書籍実験結果に異論、独自見解を発表[hon.jp DayWatch]