[視点]出版の未来とは?
2015年8月4日 / ニュースキュレーション
海外のメディアでは出版社の未来について論じた記事が散見される。今週はくしくも2本の記事が目についた。一つはハーバード・ビジネス・レビュー誌で、これから出版社は有名作家と独占的なパートナーシップを結ばないと、自社ブランドでは立ち行かないという論旨だ。つまり、読者は出版ブランドではなく、著者のブランドに、よりシンパシーを持つということである。
もう一つはワイヤード誌で、出版ブランドではなく、特定セグメントのトップブランドが関連する分野で価値のあるコンテンツを生み出していくという論旨である。例えば、マットレスメーカーが睡眠に関する科学的な雑誌を発行することなどを例示している。
アメリカでは日本のような出版不況に見舞われているわけではないが、従来とは明らかに異なる流通形態(つまり、マーケティングエンジンを持ったアマゾンという巨大小売店)を前に、本来の出版社の価値やコンテンツの価値を模索しているという背景があるのだろう。さらに、出版社が発掘したわけではないセルフパブリッシングの作家の台頭なども無視できなくなっているわけだろう。同じ問題は早晩、日本市場でも模索が始まっていくことになると思われる。特に、コミックやラノベに関してはすでにその兆しも感じる。いずれにしても、いままでどおりの出版業界のスキームでは立ち行かなくなるのは時間の問題といえるだろう。
ニュースソース
- Havard Business Review誌「これからの時代、大手出版社は有名作家と独占パートナーシップ契約すべき」[hon.jp DayWatch]
- 出版の未来は「出版社」ではなく「ブランド」にある[Wired]