[実証実験]意外に知られていないアマゾンPODのいろいろ
2015年8月12日 / 実証実験レポート
7月末にPOD事業に関するプレス向け説明会を開催した影響か、PODについて質問を受ける機会が増えています。今回は、アマゾンPODについて意外に知られていない事実を紹介します。
基本的には「再版価格維持」対象外
意外に気づいていない方が多いのですが、アマゾンPODで販売している書籍の価格は日々変わっています。8月時点では多くの書籍が30%オフで販売中で、割引なしの書籍もあったりします。印刷書籍なのに割引販売されるのは、PODは再版価格維持対象外だからです。
出版社の方と話をしていると、PODは印刷した書籍だから通常の印刷書籍と同様に再版価格維持の対象になるとおもわれていますが、アマゾンPODについてはそうではありません。基本的には再販価格維持対象外となり、販売価格は小売店であるアマゾンが自由に設定できるのです。なので、30%オフで販売したり、割引なしで販売したり、さまざまな価格となっているのです。ちなみに、この30%オフはアマゾン自ら負担して行っているプロモーションであり、出版社はなにも負担していません。定価という考え方がそもそもないPODだからこと実現しているのです。
というわけで、巷を騒がせている書籍の価格決定に関し、PODはすでに実現していたというわけです。
販売価格も書籍名もいつでも変更可能
アマゾンPODでユニークなのは、販売価格を自由に変更できる点です。定価という考え方がないと、いつでも自由に変更できるのです。ただし、条件があります。アマゾンPODは印刷・製本をアマゾンが行っているため、その製造費を下回る販売価格には設定できません。つまり、0円で売るという商品?は作れないのです。
このほか、書籍名も変更できます。これをうまく活用すれば、ソフトウェアの解説書のマイナーバージョンアップは容易に行えます。
さらにページ数も変更可能です。昨日まで200ページだったものが次の日から300ページにすることも可能なのです。
変更できないのは、ISBNのみです。つまり、アマゾンPODで管理されるのはISBNのみでそれに紐付いているさまざまな情報はいつでも自由に変更できるというわけです。
ただし、商品の同一性を逸脱してまで、変更するのはやりすぎですので、注意が必要です。
POD取次店の切り替えが可能
意外に知られていなかったのが、アマゾンPODの取次店は簡単に切り替えられるということです。すでに自社でアマゾンPODの契約をしていたり、ほかの取次店と契約しているので、インプレスR&Dとは契約できないのではという話が出るのですが、実はそんなことはありません。
アマゾンPODですでに販売しているのであれば、いろいろな取次店の条件を確認し、よりよいところがあれば切り替えることをお勧めします。これは直接アマゾンと取引している出版社も同様で、管理負担を軽減したり、取次店経由のほうが条件がよければ切り替えましょう。出版社名を含めアマゾンのサイト上ではなにも変わらないので、読者に迷惑をかけることはありません。
いかがでしたか? 印刷書籍のようで印刷書籍でない、新しい形の印刷書籍がPODです。特にアマゾンの場合、価格を含め柔軟に変更できるのがユニークです。これまでの印刷書籍を単純にアマゾンPODに切り替えるだけでもいいですが、POD独自の仕組みを意識した新しい出版物を考えてみてはいかがでしょうか?
お問い合わせ先:pod@nextpublishing.jp