[視点]「本が売れないのは図書館のせい」なのか?
2015年11月10日 / ニュースキュレーション
今週、インターネット上のメディアやSNSで話題となったのは「本が売れないのは図書館のせいだ」という新潮社社長の発言を朝日新聞で報じたことだ。さらに「新潮社を旗振り役に大手書店やエンターテインメント系作家らが、著者と版元の合意がある新刊について『貸し出しの1年猶予』を求める文書を、11月にも図書館側に送る予定だ」ということだ。新潮社という大手出版社からこうした発言が出るほど、出版業界は冷え込んでいるといるのかもしれないが、何らかの根拠を示さないと、発言による影響力も限定的なのではないか。
それに対して、同じく朝日新聞社デジタル本部の林智彦氏がCNET誌上において、さまざまなデータを使って、根拠のない発言だということを検証している。市場規模と連動しているのは生産年齢人口や資料費ではないかという指摘だ。本誌が昨年行った読者アンケートでは出版企画の魅力が少ないという回答が多かった。実際、芥川賞受賞で話題となった「火花」(又吉直樹著)は爆発的に売れているわけで、魅力的な作品の発掘、そしてそれを盛り上げるためのマーケティング企画の重要性が以前よりもはるかにしているのだろう。良い本は書店に置いておけば、自然と売れるという時代ではないということではないか。
ニュースソース
- 本が売れぬのは図書館のせい? 新刊貸し出し「待った」[朝日新聞デジタル]
- 「本が売れぬのは図書館のせい」というニュースを見たのでデータを確かめてみました[CNET Japan]