[実証実験]書名のいきさつ(舞台裏 第13回)
2015年11月30日 / 実証実験レポート
発行から10日が経ちました。著者である井芹編集長の知人のみなさまやOnDeck読者のみなさんなど、本書の発行を知った方々から書名についてお褒めの言葉をいただいています。『赤鉛筆とキーボード』は、初めて編集担当になった私が考えた初めての本の名前なのでとても嬉しいです。
編集担当に指名されてから、いままで読んできたコラムの内容やOnDeckのテーマ、井芹編集長の出版に対する考え方などを頭の中で反すうしていました。コラムには、常にITと伝統的出版のコントラストがあると感じていました。
私は電子出版から出版の世界に入ったので、写植、版下、ゲラといったものになじみがありません。井芹編集長は「昔は電話と机と赤鉛筆があれば出版社が始められた」と編集会議でしばしば口にしていました。また、ご自身も赤ではないものの、鉛筆をよく持って仕事をしています。コンピュータの歴史と共に出版をやってきた人がこんなにアナログなものを使っている、と初めて見たときとても印象的でした。そんな中で浮かんだのが『赤鉛筆とキーボード』という言葉でした。
OnDeck編集会議で他の書名の候補とともに発表したところ、満場一致でこの書名が選ばれました。井芹編集長も「いままでなかった視点かもしれない」と気に入ってくださいました。編集部メンバーもここから派生するアイディアでひとしきり会議が盛り上がりました。
OnDeckも井芹編集長のコラムは、伝統的な出版や編集を古すぎると否定するものでも、インターネット技術に排他的な出版を目指すものでもありません。本を読む人が減っている今日、距離がある出版とインターネットをつなぎ、多くの出版社、編集者とインターネット側の人が手を取ることができるようにこの書名をつけました。離れている事業ほど、結びついたときの威力は大きいと思います。これまでの出版の知恵と経験をお持ちのみなさん、これからの出版に参加するみなさん、ぜひ『赤鉛筆とキーボード』をこれからのあなたのヒントにしてください。
書名に込めた一編集担当の思いを紹介しました。書名から受け取る印象は様々だと思います。この本を手にとって、みなさんそれぞれにイマジネーションを働かせていただければ嬉しい限りです。
(OnDeck編集部 細谷)