[視点]電子書籍の利用率は2割弱で頭打ちか?
2016年3月23日 / ニュースキュレーション
ジャストシステムがインターネット利用状況を定量的に調査・分析したレポート「モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査」の2015年度総集編を発表した。それによると、電子書籍の利用率は2015年1月度調査で18.5%だったのに対し、同年12月度調査では19.0%とほぼ横ばいで推移している。また、電子書籍を「利用するつもりはない」とする人は、1月度調査では36.4%だったものの、12月度調査では43.3%と上昇している。「あまり関心がない」と回答した23.4%(12月度調査)と合わせると、およそ7割近くのユーザーが電子書籍に関心を持っていないようだ。電子書籍に関係するわれわれからすると衝撃的な結果ではあるが、単発での調査ではなく、通期にわたり変化を捉えようとしている調査なので、こうした変化には注目すべきだろう。
米国でも、大手出版社の一般書売り上げに占める電子書籍比率は好調な時期には30%弱にまで推移したが、最近では20%前後にまで落ち込んでいることを見ると、日本の市場の状況はそれと大きく異なるものの、20%というのは一つの節目であるということには納得できる。しかし、電子書籍に関心ある人が大きく減少していることは懸念材料だ。もちろん、電子書籍のメリットを感じている人もいるわけだが、全体としてはいま一つ満足感が得られないということがあるのだろう。これは価値観の多様化の一つとも言えるので、出版社としては、今後も引き続き、なんらかの改善をすすめることは当然としても、読者が双方の形態を納得して選択可能にする必要もあるだろう。その一つはプリント・オン・デマンドのような電子出版技術(デジタル技術を利用した出版)を利用した出版流通パッケージの活用を挙げることもできるだろう。
ニュースソース
- 電子書籍の利用率が2割弱で頭打ち、「利用意向なし」が増加、「関心なし」と合わせると6割以上に[INTERNET Watch]