Innovation from Internet総集編:これまで紹介してきたサービス&ツールを振り返る

2013年12月19日 / レポート

LINEで送る

text:仲里 淳

 このコーナーでは、従来の出版になかった、新しいコンセプトを持つ、インターネットのツールやサービスを紹介する。
 これまで本連載では、出版やメディアの視点から、注目のインターネットのツールやサービスを紹介してきた。
 2010年12月の創刊号から開始し、2013年12月号でちょうど丸3年になった(2011年7月号は発行サイクルの変更により休載)。今回は総集編として、これまで取り上げてきたサービスやツールで印象深かったものを振り返る。

Flipboard(2010年12月号)

 ニュースサイトのRSS、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアを情報ソースとして、コンテンツの収集と閲覧ができるスマホ/タブレット向けアプリの先駆けである。当時からビジュアル面でのクオリティの高さには定評があったが、順調にユーザーを伸ばし、日本語化も図られた。日本での展開は、サイバー・コミュニケーションズなどと連携しながらビジネス化を模索中だ。
 「Googleカレント」(2012年2月号)や「ziny.us」(2013年5月号)など、類似サービスが登場したが、依然としてこの分野のトップランナー的な存在である。
 電子雑誌は、メジャーな雑誌のレプリカ版(紙雑誌の電子化)は増えているものの、広告ビジネスを含めてまだ本格的な市場の立ち上がりは見せていない。レプリカ版が普及するのか、デジタルメディアならではの形態としてウェブやFlipboardのような形態へと置き換わるのか、まだ結論は出ていない。
 なお、Googleカレントは、欧米ではGoogleニューススタンドとともに「Google Playマガジン」として統合され、有料コンテンツの閲覧も可能になりつつある。

Flipboard

Flipboard

Togetter(2011年6月号)

 Twitterの投稿(ツイート)を、ウェブ上で収集、編集、閲覧するためのサービスとして登場したTogetter。いわゆる「まとめ系サービス」や「キュレーションツール」の先駆けとして、高い人気を誇っている。
 同じまとめ系サービスの「NAVERまとめ」(2011年9月)も、多くのユーザーに利用されている。こちらは、Togetterとは異なり、Twitter以外にもブログや画像やテキスト、引用など、素材となるデータが幅広く、まとめとしてのバラエティも富んでいる。また、まとめを作るユーザーに対して、ページビュー数などに基づいてインセンティブ(報酬支払)があることも、人気を支える理由となっている。このような背景のため、ページビューを稼ぐためのゴシップ記事的なコンテンツも多いものの、ウェブ上での存在感は大きい。
 運営を行っているのは、いまやLINEで飛ぶ鳥を落とす勢いのLINE社。LINEに注力するために事業整理が行われているが、NAVERまとめは継続していることからも、同社が重要視していることがうかがえる。カジュアルな情報消費ツールとしては優れており、LINEとの連携などが行われるのか、注目される。
 一方、Yahoo! JAPANのサービスとしてこの分野に参入した「Yahoo!くくる」(2011年12月号)は、すでにサービスを終了している。後発サービスだったせいもあるだろうが、Yahoo! JAPAN全体として圧倒的なユーザー数を抱えていても、まとめを作る側(発信する側)になるユーザー層は薄かったということかもしれない。

Togetter

Togetter

Gumroad(2012年7月)

 Gumroadは、データをアップロードし、そのURLに対して課金するというサービス。デジタルデータのダウンロード販売プラットフォームといえるが、その手順が非常にシンプルなところが評価された。一方で、開始当時はその簡単さゆえに、違法アップロードや著作権侵害などの温床になるのではという批判もされた。
 多くの賛否があったが、その後もサービスは改善を加えながら継続。機能面でも整備されつつあり、「まっとうなサービス」へと成長しつつある。このあたりの経緯は、日本だとすぐにサービス停止に追い込まれて難しかっただろうと感じる。
 新手のサービス(時に破壊的なもの)が登場した際に、市場や社会がそれをどう受け止めるか、排除されてしまうのか、折り合いを見つけて新分野を切り開くのか。デジタル化やネット化においてよく目にする問題の1つの結果としても興味深いのではないだろうか。

Gumroad

Gumroad

リブライズ(2012年10月号)

 リブライズは、Facebookをユーザーの身元確認や利用者管理のシステムとして使い、個人が所有する本の貸し借りを可能にする図書館サービスだ。個人のエンジニアによるサービスとして誕生したが、シンプルさと「私設図書館」というコンセプトが支持され、活動を拡大している。
 2012年と2013年の図書館総合展にも参加して注目を集め、日本全国さらに海外にもブックスポット(リブライズを利用した図書館の名称)が開設されている。登録されている本の数も13万冊を超え、少しずつだが着実に広がりを見せている。
 海外でも「マイクロライブラリ」(小さな図書館)という、個人レベルで所蔵されている各地の本を活用しようとする動きがあるが、それをプラットフォームとして具現化したサービスがリブライズといえる。
 対象となっているのは「紙の本」ではあるが、本というコンテンツをどう活用するか、魅力を伝えるか、という点では、図書館の電子化やソーシャルメディアとの連携といったテーマともつながる。
 また、数年前から各地で増えているコワーキングスペースといったコミュニティスペースとの相性がよく、運営元の蔵書がリブライズを使って解放されているケースも多い。

リブライズ

リブライズ


 本連載で取り上げるサービスは、「電子出版そのものズバリ」ではなく「電子出版やビジネスにどこかで関係しつつ、インターネットならではの要素を持つもの」という視点で選んできた。
 36のサービスを改めて見返すと、実に多種多様であるという印象を受けるが、これこそがインターネットの強さであり、可能性であるといえる。当然、メディアやコンテンツサービスとしても魅力的であり、単に紙をデジタルにしただけの電子出版と比べると大きな隔たりを感じてしまう。
 とはいえ、電子出版には、過去の蓄積を含めた価値があることも事実である。周りを取り巻く環境=インターネットがどういう状況かを認識しつつ、うまく連携していくことが重要なのではないだろうか。

これまで取り上げたサービス一覧

Flipboard
http://www.flipboard.com/
ソーシャルメディアと連携して「自分雑誌」を作る
issuu
http://issuu.com/
ウェブの流通を最大化するソーシャルパブリッシングサービス
メディアマーカー
http://mediamarker.net/
自分の本棚をネットで管理&公開! 読書を支援するウェブサービス
Libron
http://libron.net/
アマゾンとのマッシュアップで図書館の蔵書を検索
コモンズ・マーカー
(サービス終了)
ソーシャルリーディング時代の読書体験を可能にするラインマーク共有サービス
Androbook
http://androbook.net/
誰でも無料で簡単にアンドロイド向け電子書籍アプリを作成できる
Togetter
http://togetter.com/
膨大なツイッターの発言をテーマやコンテキストに沿ってまとめるサービス
paper.li
http://paper.li/
ソーシャルメディアで流れる情報を新聞の形にまとめて発行
NAVERまとめ
http://matome.naver.jp/
ウェブの情報を人の手で収集、整理、共有するキュレーション支援サービス
Journal+
(サービス終了)
Google +の投稿を注目度や評価、国別など多様な切り口で表示するサービス
kindle Cloud Reader
https://read.amazon.com/
プラットフォームに縛られないオープンな電子書籍リーダー
Yahoo!くくる
(サービス終了)
国内最大規模のソーシャルパワー取り込みを目指すキュレーションサービス
ザ・インタビューズ
http://theinterviews.jp/
誰もがインタビューの対象者になれるソーシャルインタビューサービス
Google Currents
https://www.google.com/producer/currents
Google が提案する、ウェブでも本でもない新しいメディア配信プラットフォーム
Path
https://path.com/
人数制限によって小さくても強い結びつきを形成するクローズドSNS
Pinterest
http://pinterest.com/
画像を軸に、Twitter にはないユーザー体験を生み出したSNS
みんなの声でグリーティングカードを贈ろう!
http://tospeak.ivc.toshiba.co.jp/grcd/
自分の声や他のユーザーの声で気軽に音声合成を試すことができるサービス
newsola
http://newsola.com/
ニュース記事の「重要度」「鮮度」「カテゴリー」を一覧で可視化するサービス
Gumroad
https://gumroad.com/
デジタルコンテンツ売買の手間を極限までシンプルにした決済サービス
LINEトークノベル
http://line.naver.jp/
チャットのようにインタラクティブに楽しめる新感覚のスマホ小説
nanapi
http://nanapi.jp/
誰もが持っている日常のノウハウやハウツーを投稿&共有できるWebサイト
リブライズ
http://librize.com/
全国各地の本棚をウェブ上で共有して貸出可能にする仮想図書館サービス
電子書籍サーチ
http://www.densyo-search.info/
過渡期ならではのニーズに応える紙版と電子版の価格比較サービス
MANGA REBORN
http://ja.mangareborn.jp/
コミュニティの力で作品の多言語化が可能なマンガ投稿サービス
CAMPFIRE
http://camp-fire.jp/
ネットを介してクリエイターと資金援助者を結び付けるサービス
STICKIT
(サービス終了)
読書によって得た「学び」を自分に定着させるためのサービス
Qrust
http://qru.st/
ソーシャルメディアにおけるユーザーの影響力を数値化するサービス
言い値書店
http://www.iineshoten.com
購入価格を読者が自由に決めることのできる電子書籍ストア
ziny.us
http://ziny.us/
ユーザーが編成するマイクロコンテンツ時代の電子雑誌
Reading+
http://www.readingplus.jp/
詳細な読書記録によって本からの深い学びを支援するサービス
Spotify
http://www.spotify.com/
CD倉庫を持ち歩く感覚で利用できる定額聴き放題の音楽サービス
logmi
http://logmi.jp/
オンライン上の講演動画や音声をひたすらテキスト化するメディア
Shapeways
http://www.shapeways.com/
3Dプリンターを使ったオンデマンド製造のプラットフォーム
Calibre
http://calibre-ebook.com/
RSSと変換機能でウェブメディアを電子書籍として楽しめる万能ツール
Librograph
http://librograph.com/
本をきっかけに生まれた連想を自由につなげて可視化するサービス
Booktrack
http://www.booktrack.com/
テキストと音楽のマッシュアップを可能にした電子書籍サービス

Facebookにコメントを投稿

コメント

コメントは受け付けていません。



TOPへ戻る